連日ニュースなどで放送される日経平均株価ってありますよね。今日はいくら上がったとか下がったとかに注目されがちですが、今回はその日経平均株価がどのように計算されているのかについて書いていきます。
日経平均株価の計算における注意事項
話を単純にするために、銘柄数を225ではなくa社、b社、c社の3銘柄とします。そして、それぞれの会社の株価をXa,Xb,Xcとすると、これらの株価の算術平均は
$$\frac{X_a+X_b+X_c}{3}$$
で計算することができ、日経平均株価も基本的にこの考え方で計算されています。
ただ、株式の額面に相違があるために注意が必要となります。
株券に金額表示があるものを額面株式、金額表示がないものを無額面株式といいます。
多くの日本企業の額面(株券に記載されている金額)は、50円であったものの、2001年10月に施行された商法改正により、額面株式は廃止となり、無額面株式に統一されることとなりました。
商法改正により、古い会社の多くは50円額面であるのに対して、新しい会社は50,000円額面というのが一般的になりました。また、額面が500円という銘柄もありました。
みなし額面について
日経平均株価は225銘柄を単純に足し合わせて分子を計算するのが原則です。
しかし、額面の額が50円の銘柄と50,000円の銘柄を同じように計算すると、50,000円額面の銘柄の株価に日経平均株価の値動きが大きく影響を受けてしまうことになります。
例えば、新日本製鉄の額面は50円、ファーストリテイリング(ユニクロ)の額面は50000円です。
新日本製鉄の10月15日の株価は2560円、ファーストリテイリングの株価は36770円です。
ファーストリテイリングの株価は新日鉄の14.363倍です。これは、ファーストリテイリングが新日鉄より約14倍も価値があるというわけではなく、2社の額面が異なることで生じる差です。
日経平均株価を計算する際、2560円と36770円のまま計算すると、ファーストリテイリングの株価の値動きが新日本製鉄に比べ、約14倍の影響を日経平均株価に与えてしまい、平均として意味がなくなってしまいます。
そこで、計算上は多くの企業の額面であった50円に統一させることとして、額面500円の銘柄は株価を10分の1、額面50,000円の銘柄は株価を1,000分の1にして225銘柄の合計を出すことにしたのです。
50円に揃えるために、株価を次のように変換します。
$$y_i=\frac{x_i\times50}{額面}, (i=a,b,c)$$
多くの企業の額面は、50円であったので、そうした企業の場合はyi=xiです。先述のファーストリテイリングの場合には、yi=xi/1000となり、新日鉄よりも低い株価ということになる。
日経平均は、株価 xi(i=a,b,c)ではなく、額面による修正を施した株価(額面修正株価)yi(i=a,b,c)を使用して、
$$\frac{y_a+y_b+y_c}{3}$$,
というように計算される。
日経平均は各構成銘柄について、原則、当時の額面を引き継いだものを「みなし額面」として、各銘柄の株価を50円額面に換算して指数の算出に使用しています。
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