こんにちは、元証券マンのえっちょです。最近、神田通信機の株価がすごい上がってたので原因を探してみました。
掲示板を見ると、
・M&Sという投資ファンドが投資対象銘柄にしている
・保有資産の割に時価総額が低すぎる
という2点が株価上昇の主な理由にあげられていました。
そこで今回は上記2点の理由の検証と、他に原因がないかを検討してみます。
M&Sという投資ファンドが投資対象銘柄にしているが実態は・・・?
M&Sのサイトを調べるとすぐに出てきました。
これを見ると投資対象銘柄に選定しているのは間違いなさそうですね。
さらに、運用報告を調べてみると
神田通信機株式会社(証券コード 1992) 臨時株主総会招集請求について
東証 JASDAQ 上場の『神田通信機株式会社』に対する臨時株主総会招集等請求書を送 付いたしました。本件取引における弊社プレスリリースは以下のとおりです。 弊社合同会社M&Sは、平成30年1月12日付で神田通信機株式会社(以下「神田 通信機」と言います。)へ臨時株主総会招集等請求書を発送し、同年1月15日付で請 求書の到達及び当社での情報開示を確認しましたので、本件を公表いたします。 弊社は、神田通信機の発行済株式総数の3%以上を6カ月以上の期間保有しており、 現在は神田通信機の株式61,300株、発行済株式総数の約7.01%を保有する株 主です。 1.株主総会の目的である事項 神田通信機保有の投資有価証券売却及び剰余金の処分の件 2.請求の内容 神田通信機が保有している投資有価証券980,560千円のすべてを売却し、有 利子負債返済後、第81期期末配当の剰余金の配当として普通株式1株当たり、金 869円を配当する。 上記提案は、神田通信機にとって容易に実行できるものであり、神田通信機の資本利 益率の向上及び財務体質の改善に大いに貢献するものであります。かかる弊社の提案を 株主総会において上程、可決することにより神田通信機の株主重視の姿勢を市場に強く アピールすることができるものと考えます。 以上
(引用;神田通信機株式会社臨時株主総会招集等請求書 https://ms-llc.net/news/kandatusinki_20180117/)
と記載が有りました。
それに対して、神田通信機側の対応は
とのことです。
ざっくり言えば、
投資ファンド(神田通信機の株を7%以上保有の大株主)としては、神田通信機が保有している有価証券を売却すべき!
約10億近い有価証券を売って、借金の返済に当てるのと、配当を増やして株主に還元しよう!
という主張を通すために臨時株主総会を開きましょう!というものです。
それに対して、神田通信機側は大株主の意向でもあるため無視することができず、慎重に検討したのち、正式発表しますよ。というもの。
補足としては、1月24日時点の株価は3400円で有り、発行株数が87万4409株であるため、時価総額は29億7299万程度です。
そのためファンド側としては、時価総額30億程度の会社が価格変動リスクの高い有価証券を10億近く持っていることをリスクに感じるのでしょう。
また、神田通信機のIRをチェックすると
自社ビルの価値が15億程度有り、保有資産としては61億程度あることがわかります。
時価総額の倍は有りますね。
ちなみに負債は
こんな感じなので、ファンドとしては短期借入金の2億ちょっとを返済しましょうってところですかね?
さらに、
売り上げは24億程度あげていますが、結果3600万程度赤字状態であることがわかります。
上記のような状態なので、
ファンド側の主張としては、本業で利益出てないのに時価総額の3分の一も株を持っててどうすんの!
売って財務体質をよくしたり、人を雇ったり、株主に還元してくれ!って感じなんですかね。
ファンド側の主張が通れば、増配になるし、次回決算は特別益が出て黒転になるし
その思惑で株価が連日ストップ高しているんでしょう。
(追記1/31)
当社は、平成 30 年1月 16 日付「株主による臨時株主総会の招集請求に関するお知らせ」にてお知らせいたしましたとおり、当社株主から平成 30 年1月 15 日付で受領しました書面により臨時株主総会の招集請求(以下、「本請求」といいます。)を受けておりましたが、本日付で、当該株主より、本請求を撤回する旨の通知を受領いたしましたので、お知らせいたします。
(引用;株主による臨時株主総会の招集請求の撤回に関するお知らせ 神田通信機IRより)
結果としては何もおきませんでしたね。
両社の間で何らかの合意があったんでしょうか。わかりませんが、、、
どうでもいいことですが、個人的には株価うんぬんより、上記のIRの日本語に疑問を覚えてしまいます。
「お知らせにてお知らせいたしました」って他に言い回しないんですかね。
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